ロードバイク巡礼の試練[秩父三十四箇所巡礼記・23~27番札所]
- 2014/11/26
- 19:07
前回は11/16(日)に22番寺まで。
先週日曜は市内の寺中心に回ったこともあり(ロードバイクで走ってもそれほど楽しい道じゃなかった)、一つ一つの寺をじっくり見ずに数ばかりこなしてしまった。せっかく来たのにそれでは勿体ないので、今回からは時間を気にせずゆっくりと巡ろう。
寺も郊外中心で、ロードバイクで走っても気持ち良さそうなコースだ。
また、一つ自分にルールをかすことにした。
地図を確認するのは次の寺へ向かう道中で1度だけ、というものだ。細かくルートファインディング出来ない分、巡礼道の案内を見逃さないように走らなければならないが、そのぶん景色もゆったりと楽しめるだろう。
~二十三番札所 音楽寺へ~

11/22(土) 快晴
今日から秋の三連休が始まる。カレンダーを見ると今年最後の三連休。秩父行きの電車は普段は空いているのだが、さすがに連休とあって混雑していた。こうなると自転車は肩身が狭い。
西武秩父駅をスタートして、まずは23番音楽寺を目指す。市街地をすっ飛ばして荒川を渡り、川向こうの森のかけ上がる。


紅葉に包まれた小鹿坂峠を登ると眺望が開ける。よく晴れて、遠くの山の色付きまで見えた。

二十三番札所 臨済宗南禅寺派 松風山・音楽寺(しょうふうざん・おんがくじ)
ご本尊:聖観世音菩薩
由来は、この寺を開いたら13人の聖者が背後の山の松風を菩薩の音楽として聴いたからだと云われている。
「音楽の みこえなりける 小鹿坂の しらべにかよう 峰のまつ風」
~二十四番札所 法泉寺へ~
音楽寺を後にして、来た坂を下り県道72号を荒川上流方面へ進むと法泉寺がある。

観音堂は奥に見える石段の上だ。117段あるそうだが、一番上は観音の霊地で階段ではないから116段とされている。

二十四番札所 曹洞宗 光智山・法泉寺(こうちさん・ほうせんじ)
ご本尊:聖観世音菩薩
観音堂は銅板葺き四注屋根、三間四面、三間の表一間を吹放しにし、左右の袖に小さな仁王尊を納めてある。がんを設けて仁王尊をまつり込む、つまり仁王門と観音堂を一体とした造りは、堂の柱が全部八角柱であると共に、他に例を見ないそうだ。
この寺は養老元年、越後の泰澄大師がこの地に加賀の白山を勧請したことに端を発しているとされ(白山の所在地は石川県白山市、開山は泰澄大師、古くから山岳信仰の篤い修験道の霊山として栄えた)、大師は枯木を三つに断ち切り、その一つで聖観音像を刻み、 残りを人々に与え、これらのものは万病に効力があったといわれる。
「天てらす 神のははその 色かえて なおもふりぬる 雲の白山」
~二十五番札所 久昌寺へ~

県道72号をさらに荒川上流方面へ進むと道は登り基調になり、ところどころで視界が開く。美しい紅葉の山並みと武甲山が見えた。
さらに少し進み、目的の二十五番寺へ到着。この辺りは適度なアップダウンもあり、走っていて本当に楽しい。二十番代の寺はそれぞれ適度に離れているため徒歩ではなかなか大変だが、自転車には魅力的なコースになる。

二十五番札所 臨済宗南禅寺派 岩谷山・久昌寺(いわやさん・きゅうしょうじ)
ご本尊:聖観世音菩薩
観音堂は三間四面、堂内には宮殿形の厨子に本尊聖観音が納められ、本尊は一木造りの立像、室町時代の作という。
また、寺の由来は下記のような逸話にある。
その昔強欲な女が山で悪行を重ねた結果、村人は思いあまって女を荒川に投げ入れたが、女は一命をとりとめ久那の岩屋に住みつき女児を出産した。 子供は親に似ず美しい心の持ち主で、成人してから母の菩提を弔うために観音堂の建立を発願し、 村人の助力で行基菩提作の聖観音像を安置して宿願を成就させた。
「みなかみは いずくなるらん 岩谷堂 旭も久那く 夕日かがやく」
~二十六番札所 円融寺へ~
二十六番札所までの道は、再び荒川を渡って戻り秩父鉄道影森駅方面へ向かう。徒歩ならばけっこうな距離がある。円融寺近辺は住宅街で寺もいくつかあるため、巡礼標識を確めながら進んだ。

二十六番札所 臨済宗建長寺派 萬松山・円融寺(ばんしょうざん・えんゆうじ)
ご本尊:聖観世音菩薩
かつてこの山に弘法大師が止錫して護摩の修法をし霊感を得られた。後に恵心僧都が本尊聖観音像を安置し、村人を促がして堂字を建立し、そして秩父太郎重弘が再興したという寺だそうだ。
しかしやけに小綺麗な寺だなぁ、と思って見ていると、現在はここに安置されているご本尊はかつて山の中の観音堂にあったという看板を見付けた。
迷ったが、せっかくなので行ってみることにした。地図は円融寺の境内にあったものを参照したが、ここかだと企業の敷地内を抜けるらしい。行ってみると、守衛さんが親切に教えてくれた。
途中までは舗装路だったのが、ある地点を境に砂利道に変わったのでロードバイクを押して進む。道はやがてシングルトラックになり、そして長い石段に遭遇した。

法泉寺の石段とは比べ物にならないほど長く急な石段だった。
今日は自転車用の鍵を忘れて来てしまったため、ここにロードバイクを置いておくのも不安がある。仕方がないので担いで登った。
自転車を担いで急な登りを行うのはMTBで慣れているとはいえ、やはりロードバイクの方が気を使わなければならず大変だった。
大汗をかいて石段を登りきると、かつての観音堂が視界に入ってきた。

岩井堂
見上げるような岩山に抱かれるように建っていた。間口・奥行各三間、方形屋根二重垂木、三方勾欄をめぐらした朱塗り舞台の堂だ。前面は急傾斜数丈の高さで、浜縁からの景観は左手に武甲山の山肌がせまり、前方に奥秩父の連峰が望見できるという素晴らしさ。
見事な堂で、苦労して来る価値はある。
「尋ねいり むすぶ清水の 岩井堂 こころの垢を すすがぬはなし」
さて、次の寺を目指すためには石段を戻らないルートが正しいようだ。そこには極上のシングルトラックが延びている。MTBならさぞ楽しいだろう。しかしロードバイクを担いで歩くとなると、これはもうキツいなんてものじゃない。途中までは歩いてみたものの、シングルトラックはかなり長そうだった。
ルートは尾根上にあったが、谷側には砂利道の林道が見える。だが、林道まで降りる道はなさそうだった。
このままロードバイクを担いでシングルトラックを進んでいると日が暮れてしまいそうだったので地図を確認し、等高線の間隔が広くて傾斜が緩く、かつ林道までの距離が短い場所を探して道なき斜面をかけ降りた。
すでに下草は枯れていたこともあって、思ったほど苦労せずに降りることが出来た。とは言え、やはりロードバイクを持った状態でやりたいことではない。

美しい林道の景色に安堵する。しかし砂利道ではまだロードバイクに乗ることができない。
やがて舗装路に辿り着いたけれど、その頃にはもう太陽が傾きだしていた。
~二十七番札所 大渕寺へ~
二十六から二十七までは距離が近い。
上記の岩井堂へ寄るなら少し時間はかかるが、気持ちの良いトレッキングになるはずだ。ただし、自転車巡礼をする場合は石段手前に自転車を止めておいた方が断然良い。

山門前に到着。コーヒーを淹れて楽しむ時間を考えると、今日はここを最後にするのがベストだろう。

二十七番札所 曹洞宗 龍河山・大渕寺(りゅうがさん・だいえんじ)
ご本尊:聖観世音菩薩
行脚の宝明という僧が脚の病のためにこの地で倒れた。 そこへ巡錫の弘法大師が立ち寄り、自刻の聖観音像を与えた。やがて観世音の力により宝明の病は全快した。宝明は堂字を建立して観音像を安置したという。これが寺草創の逸話だそうだ。
かつて山の上にあった「月影堂」は美しい朱塗りの堂だったというが、1919に全焼してしまった。
「夏山や しげきがもとの 露までも こころへだてぬ 月の影森」
日没まではまだ時間があるが、本日の巡礼はこれにて終了。
適当な川原を探すために近場を走る。

秋の夕暮れは寂しく美しかった。

少し走ると良さそうな川原があり、ここでコーヒータイムにした。

道具はいつものソロセット、豆はコロンビア・ドミンゴ。
存分に遊んだ後、静かにコーヒーを淹れて楽しむ時間はかけがえのないものだ。

川面から無数のカゲロウがハッチし、ハヤやらオイカワが盛んにそれを補食しているが、数が多すぎて到底食べきれない。
魚から逃れ空を漂うカゲロウが、川を下る秋風に流されている。それはまるで雪のようだった。
巡礼は続く。
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